経営者の離婚

1.経営者の離婚の特徴

経営者の離婚の場合の特徴は、①財産分与と対象となる財産が高額となること、②自社株式が財産分与の対象となりうること、③妻が会社経営に関与(役員就任、保証人になっている等)しているケースがあることです。

2.財産分与について

財産分与についてですが、裁判実務では、収入のない専業主婦であっても、財産は全て2分の1ずつ分けるのが原則です。その財産を作り上げるために妻も、専業主婦として貢献したと認められるからです。しかし、会社経営者が特殊な能力でもって多額の財産を築き上げていた場合、妻に2分の1の財産分与を認めるまでの貢献があったとは認められない例外的な場合もあります。たとえば、東京地裁平成15年9月26日判決は、夫が一部上場企業の代表取締役であり、約220億円の共有財産があった事案ついて、財産分与の割合を夫95%・妻5%として、妻への財産分与を10億円としました。経営者の離婚の場合、こういった例外的なことも想定されますので、財産分与に精通している弁護士によるサポートが重要となります。

3.自社株式について

次に、自社株式も財産分与の対象になりますが、その後の会社の運営を考えると、離婚する妻側が自社株式を保有し続けることは経営リスクでしかないので、実際には、自社株式評価額に相当する金額を現金等で渡すことになります。この場合、自社株式の「評価」が大きな争いになります。非上場会社の株式の評価については、相続税法の評価方法、DCF法、(時価)純資産法などによる評価額、それらの折衷法による評価額の複数の方法があります。同じ株式なのに、評価方法によって5倍以上評価額が異なることもあります。これらのいずれについても精通していて、裁判官に対して説得的な主張をできる弁護士のサポ-トが重要となります。

4.財産分与と税金について

財産分与においても、譲渡所得等などの課税関係が発生することがあります。税務に精通している弁護士によるサポートが有用となります。

5.その他

中小企業の場合、配偶者が会社経営に関与(役員就任、保証人になっている等)していることが多いですので、離婚する場合は、法律関係を整理しておく必要があります。

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